春特有の、涼しくも包み込むように明るく暖かい心地よい気温に、日がぽかぽかあたるお昼ごろ。 こんな日は、眠い。 まぁ、いつでも眠いっちゃ眠いんだけど。 そんなこんなで、は十番隊執務室で一人すやすや眠っていた。 「おい、……!」 「ん…?たい…ちょー?」 まだ光に慣れてない目をうっすら開けると、霞んだ視界に銀色の髪と翡翠色の瞳が映った。 「なに寝てんだ」 「ん、だって眠くなったから」 フリーダム。 「はぁ…まぁ、仕事も一段落ついたしな…」 「そうそう、だから隊長もゆっくりしましょう!」 「…お前始末書どうした」 「…あはは、なんの事かなぁ?」 思っいきり冬獅郎から目をそらす。 「あ…ねぇ隊長、外、出ませんか?」 「…いや、別にそこまでして始末書から話題そらさなくたって、あと少しは待つぞ?」 「違いますから!もう始末書関係ないですからァァア!!いつまで引っ張るんだよ始末書!!ただ、外、気持ちよさそうだから」 散歩でもしたいなーと、とは言った。 「あぁ…」 そういう事。そういえば最近あんまり二人で出かけたりしていない。 「…行くか」 「やったー!」 隊首室にの歓喜の声が響いた。 * 「いやぁ、やっぱ春は花が綺麗だね」 ふふ、と笑っては少し浮かれたような駆け足で野原をかけた。 「はしゃぎすぎ」 「だって子供の頃を思いだして懐かしいじゃん」 楽しそうに満面の笑顔をうかべるに、仕方ないという風に冬獅郎も笑みをうかべた。 「あ、コレなずなだ…」 小さい頃よく音鳴らして遊んだんだよねー、と言って、はハート形の葉っぱを折ってペンペン鳴らした。 「タンポポ、すみれ、忘れな草…もう満開状態だね」 「花に詳しいんだな、意外と」 「意外とってなんだ意外とってェエ!」 は指でくるくる回して遊んでいたなずなをペイッと冬獅郎に投げ付けた。そしてまた歩きだしただったが、いきなりぴたっと足を止めた。 「あ、コレ…」 「あ?それなら俺だってわかる。チューリップだろ?」 それがどうしたんだという風に冬獅郎は言った。 「うーん…チューリップは球根で繁殖する気がするんだよね。こんなところに一本だけ咲いてるなんてのは普通はあんまないと思うんだけど」 「じゃあどうして」 「多分誰かが植えたんでしょ。この紫のチューリップの花言葉、知ってる?」 「んなもん知らねェよ」 当然と言わんばかりに冬獅郎は答えた。 「『不滅の愛』」 そう言って優しげには微笑んだ。 その笑顔はとても美しくて。 「…」 サァ...と暖かい風が吹いて、まるで時間が止まったかのようだった。言葉を発する事さえ許されないかのように思えた。 そのままそっと口づけられる。 「あ!」 「…なんだよ?」 キスの途中にいきなり声をあげたに少し不機嫌そうに冬獅郎は言った。 「チューリップ踏みそう」 「あのなァ…キスの最中に違う事考えんな」 「あはは、ごめん。でもこれはきっと、誰かの大切な誓いだから」 踏んじゃったら困るでしょ、とは言った。 花逍遥の果てにあったのは 「……これからも」 「へ?」 「一生、愛してるぜ」 散りゆく淡いひとひらに 愛の誓いを捧げよう (そこに刻まれる新たな誓い) |
2009/02/21 up... 君の鳴く場所様へ捧げます。 素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました^^ 配布元 天球映写機様 |